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2018/08/14

2018年8月10-12日双六岳から黒部五郎岳

 北アルプスに行ってきました。自転車をちょっと無理をして活用する計画です。あらかじめ飛越トンネルに自転車をデポしておき、新穂高から歩きだして双六、黒部五郎と歩いて神岡新道を下ります。自転車を回収してあとは下る一方、、、だったらいいのですが、実際には山吹峠への登りと国道471に出てから新穂高までは登り基調になってしまいます。自転車の走行距離は51km。山を縦走したあとのツーリングはつらいかもしれません。

 

一日目  前夜発で飛越トンネルの飛騨側に午後10時ごろに到着。自転車をデポしました。木曜日なので登山者のクルマは二台ぐらいしか停まっていません。
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 新穂高の登山者用無料駐車場に入り仮眠しました。午前5時に出発。山の上のほうは雲の中です。さすが、北アルプスでしかも夏休み時期ということで人が多い。
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 林道を淡々と歩いてわさび平に到着。小屋の前には流水で冷やされたキュウリやトマトがあって涼しげです。
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 林道から鏡平方面に登る小池新道に入りました。うわさで聞いていた林道わきにあるというデポされた自転車は見当たりませんでした。また、林道入口にも自転車の進入禁止の表示はありませんでした。歩いて二時間弱なので、自転車で下れば30分ぐらいと思われます。
 高度を上げていくと秩父沢を渡る休憩ポイントにでます。たくさんの人が休んでいます。小池新道は槍方面にも雲の平方面にも通じているので、まだまだ人が多い区間なのでしょう。
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 秩父沢の上部には雪渓が残っていました。さすが北アルプス。南や中央アルプスでは、ほとんど雪渓は残っていませんでした。雪渓の周辺は花も豊富です。
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 先週と違ってしっかりと睡眠をとっているので、しっかりと登って行けました。鏡平に到着。確かに鏡のように池の周辺の木々が映り込んでいます。残念ながら、評判の槍ヶ岳の姿はガスの中で映りようがありません。
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 双六から笠ヶ岳に連なる稜線に出ました。時間に余裕があるのですぐ近くにある弓折岳を往復。ハイマツの向こうにガスがかかりながらも双六岳が見えています。
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 弓折岳の山頂直下に雪田(といってもごく小さいけれど)があって、高山植物も咲いていました。名前はわかりません。昨年は白山でたくさんの花を見ましたが、名前が分からないのは相変わらずです(昨年の白山の花はここ) 。
 ちょっと人気のコースを外れるだけで静かになります。
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 弓折岳からは小さなアップダウンを繰り返しながら尾根をたどっていきます。やがて尾根の西側を巻くようになると双六小屋があるコルが見えてきました。その向こうには鷲羽岳がそびえています。小屋と手前の双六池の間にあるテント場はガラガラのようです。それはそうです。まだお昼前です。だいぶ早くついてしまいました。
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 早く着いたので三俣蓮華に足を延ばそうか考えましたが、どうも中途半端です。空いているうちにテントを張ってしまい、空身で双六岳を往復することに決定。水場に一番近い場所を確保。残念ながら双六小屋の水場では流水はロープの向こう側の放流されていて、担ぎあげた泡系飲み物を流水で冷やしておくというワザが使えません。仕方がないので、コッヘルに蛇口から汲んだ水を入れて冷やすことにしました。
 テン場にはペグ替わりの石が豊富にあるので、時間もあることだし、しっかりとフライを張りました。これが正解。夜中に雨が降ったけれど、テント内はまったく浸水しませんでした。
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 双六岳に登っていくと、なぜか硫黄尾根にだけスポットライトのように日が差していました。雲は常に標高2700mぐらいから上の山にまとわりついていました。高い山から少し離れていて、少し標高が低めの硫黄尾根は、雲の切れ間からの日差しがあたりやすいのでしょう。
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 双六岳山頂はガスに囲まれていて遠景は何も見えませんでした。
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 三俣蓮華への巻き道分岐まで高度を下げてくると、再び鷲羽岳と水晶岳が見えてきました。右側のほうは真砂岳方面でしょうか。
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 テン場に戻ってきました。午後2時過ぎ。だいぶテントは増えてきましたがまだ余裕があります。その向こうには笠ヶ岳方面がみえるはずですが、どうしても雲は取れてくれませんでした。
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二日目  今日も似たような天気らしい。雨にならなければいいや、ということで出発。双六岳は昨日に登ったので、巻いていく中道を歩いてみました。カール底を緩やかに登っていくと双六小屋の水源地に出会いました。ここまで登りで20分ぐらいかかります。ここからホースを延ばして小屋に水を引いているのでした。流水で泡系飲み物を冷やせなくても文句は言いません。小屋の運営には頭が下がります。昨日もバイトと思われる青年たちが、楽しそうに物資を物置から小屋の本館に運搬していました。若い人の力のおかげです。
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 北上するにしたがってガスが濃くなり、小雨模様になってきました。ザックカバーをつけて歩き続けます。こうなると高山植物を鑑賞する以外に楽しみがなくなってきてしまいます。
 チングルマの花はもう終わりで、綿毛が露に濡れています。
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 先週に西駒山荘周辺で見かけたイワツメクサもたくさん咲いていました。名前がわかるのは、西駒山荘が教えてくれたからです。
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 視界がない3000m近い尾根を歩いているとやることは花を見ることぐらいです。名前が分からない花の写真二つ。
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 双六岳からの稜線の道と合流しましたが、ますますガスが濃くなって視界は効きません。風はそれほど強くないので、低気圧や台風が接近している気づかいはありません。夏の高気圧に長く覆われていて、大気の状態が不安定、というやつでしょうか。
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 三俣蓮華の分岐を過ぎてもひたすら歩いていきます。標高2620m付近で尾根が南側に折れる地点と思われるところに、黒部五郎小屋の標識が立っていました。小屋は標高2350mぐらいのところにあるので、まだまだ下らなければなりません。小雨の中で地図を広げる気にならず、とにかく歩いていきました。長い。
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 視界がなくても癒されたのは、登山道沿いに広がっているチングルマの大群落です。花が終わっていても壮観です。花が咲いていたらさぞ素晴らしいでしょう。ぜひもう一度来てみたくなりました。一週間早ければ花に間に合ったかもしれません。昨年の白山は8月の第一週で花盛りでした。
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 長いなーと感じながら下って行き、やっと黒部五郎小屋に到着しました。雨がしっかりと降り始めています。この先、黒部五郎を越えて北ノ俣岳まで稜線を歩いていかなければなりませんが、ここまで来て引き返す気にはなれません。風はないので濡れたからだが冷えることはないだろうと思いながら、小屋の玄関を使わせてもらい、雨具のズボンをはきました。
 準備をしているときに黒部五郎岳を往復してきたという男性と会話。昨日に私が双六小屋でテン場のチェックインをしているのを見ていたとのこと。彼は昨日のうちに黒部五郎小屋まで入り、今日はさっそく黒部五郎岳を往復して、これからできれば水晶岳まで行くと言います。偉い!テン場に着くと、すぐに泡系飲み物をどうやって冷やすかと考えてしまう私とはだいぶ心意気が違います。お互いの無事を祈る言葉を交わして、180度違う方向に別れました。
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 黒部五郎岳にはカールコースをとります。視界がないのでよくわかりませんがカールの底を登っています。カールの底は別天地だということはわたしも経験上知っています。ずっと昔に日高幌尻のカール底で泊った時は、クマもカールが好きと知りました。
 水が豊富な底から少し登ってきてカール壁が見えてきました。最後は急登で尾根に出ます。どのような思し召しかわかりませんが、雨は上がってきて昨日と同じように思わせぶりにガスが舞う様相になってきました。
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 カール壁を登りながら振り返ると壮観です。先ほどすれ違った赤いザックカバーの単独行の人が、下って行きます。ここまで来るのに普通には下界からは一泊はしなければならない奥地ですが、人がたくさんいるので秘境感はありません。却って大台ヶ原周辺の台高山脈のほうが標高は低いけれど秘境感があります(最近の秘境感ある台高山脈の様子はここ)
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 カールを登り切り,、黒部五郎岳の肩から展望は期待しないまま山頂に行きました。大パノラマだというガイドブックなどの記述が恨めしいですが、仕方がありません。チラッと見えた南西に下る尾根が金木戸谷方面に行くのだと確認したりします。双六谷上流の地形図によるとゴルジュ続きの沢のようです。それだけでドキドキしてしまうのは、昔に日高山脈を沢を使って上り下りしていた後遺症でしょう。深い谷の遡行で、スノーブリッジをくぐるとか、草付きの高巻きとか、を思い出してしまうのです。怖いコワイ。
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 山頂を後にして北ノ俣岳方面に下り始めると、少しずつ雲が薄くなってきました。最後まで山頂付近の雲は取れにくかったですが、とにかく雨の心配はなくなりました。太郎平方面からの登山者と続々と行き交います。ちょうど黒部五郎小屋や三俣蓮華まで行くのに良い時間なのでしょう。
 赤牛岳が見えます。ここから南側の山々はずっと雲の中で、今回の山行では槍ヶ岳や穂高連峰の姿は一度も見られませんでした。
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 薬師岳も全貌を何とか見せてくれました。右に延びる尾根は、むかしの冬山で愛知大学パーティーが迷い込んでしまった尾根です。この南西尾根を降りても黒部川の源頭に出るだけなので行き止まりです。あぁ、想像するだけでも恐ろしい冬山遭難です。
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 みえたり見えなかったりする遠望はあきらめて、ポコポコと歩いていきます。中俣乗越から北ノ俣岳まではあまり標高差があるアップダウンはありません。まったく目立たないピークですが、赤木岳にあった標識にはこんなことが書いてありました。お昼を過ぎている時間にもかかわらず、黒部五郎方面に歩いていく人に何人も行きあいました。みんな黒部五郎小屋まで行くのでしょうか。まさに、ガンバレ、っていうところです。
 それとは別にそそられたのは、雷鳥がいるよとのことです。キョロキョロしながら歩きましたが、残念ながら雷鳥さんは顔をみせてくれませんでした。
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 赤木岳から北ノ俣岳に至る稜線から眺めた薬師岳と赤木平です。目を引いたのは手前の赤木平の地形です。チョー厳しい渓谷となっている黒部川の源頭の一つが、こんな楽園っぽい穏やかな流れの平地になっているのです。もちろん、その楽園に行くためにはヤブ漕ぎで大変だし、このような場所が人間に向いた土地になっているとは思いませんが、激流を遡ってきたら源頭としてなにかストーリーを感じさせる地形です。日高山脈でも、源頭風景によって沢の印象が変わるという経験を思い出しました。
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 マイペースで歩いて北ノ俣岳に到着。双六までの登りではコースタイムを凌駕していたけれど、登りの要素が少なくなると平均速度のようです。若いころに比べると下りが苦手になっているのですね。
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 その苦手な下りに入ります。神岡新道は尾根沿いなのですが、下り始めの急傾斜はしっかりと道がついているものの、傾斜が緩くなると湿地帯と乾燥帯の微妙なところに入ってきて、道が水流によってすごく掘れていて、荒れてしまっていました。こういうところにしっかりとした道をつけるのは技術が必要と思われます。
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 深く掘れた溝に転落しないように草地のヘリを慎重にたどりながら下って行くと、湿地帯とそこを通過する木道が見えてきました。どうやらガキの田と言われるあたりのようです。
 木道に入っても途中に崩壊しているところもあり、道の維持の難しさを実感しました。この道は北アルプスの主稜線へのアクセスとしては貴重ですが、なかなか維持が大変そうな地形です。山登りのコースは多くのひとの努力によって維持されているのだと実感します。
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 荒れた道をよろよろと下っていたのでコースタイムオーバーだろうと思っていたら、意外に予定通りの午後3時半に北ノ俣避難小屋に到着しました。すでに6名の先着があり小屋は満杯状態。素直にテントを張ることにしました。幸いに小屋の水場のすぐ前に最上の天場がありました。小屋を改めて眺めると、基礎が危ないという警告そのままに、建物の崩壊の危険を感じさせる様相でした。でも、水があり最高の場所です。ここまで担いできた残りの泡系飲み物を冷やしました。午後6時ごろになって2名パーティーが到着しましたが、テントは持参していないとのこと。避難小屋組みでなんとか調整したようでした。さすがにシーズンは避難小屋も人気です。
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三日目  双六小屋に比べると標高が低い北ノ俣避難小屋は気温が高めでした。薄着でもぐっすりと寝られました。午前5時に出発です。尾根に出ると今日も上のほうはガスの中。下界のほうは比較的雲が薄いという昨日までの空模様と同じようです。
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 神岡新道はぬかるみがひどいという前評判でしたが、このところの少雨のおかげかまったくそのようなことはなく、飛越トンネルまで下ることができました。登ってくる人には、ぬかるみはひどいですか?と聞かれたり、長靴で武装して登っている人ももいましたが、まったく平和な道でした。ラッキーなのでしょう。
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 飛越トンネルを抜ける林道が見えてきました。雲は少なくてよい天気です。でも暑そう。
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 自転車はちゃんと待っていてくれました。ここで、誰もいないことを確認してから、もってきたレーパンに着替えます(著者注:自転車用のレーパンは下着をつけずに直接身に着けます)。ダウンヒルがあると言え、51kmを走って新穂高まで帰らなければなりません。
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 下りは快適。でもすぐに、上宝瀬戸の最終人家に到達して、今度は岩井谷への小さな峠を越えなければなりません。やっぱり登りはつらい。岩井谷をすぎてもう一つの尾根を越えると旧山之村、いまは神岡町の一部となっているらしい、の中心地に到達しました。ここから山吹峠に向けた登りが始ります。
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 登っていくと山之村牧場になりました。飛騨牛たちが、おや?という顔でこちらを見ています。乳牛と比べると肉牛には申し訳ない気持ちが湧いてしまいます。ビーフステーキの味を思い出して、やっぱり牛だよなー、申し訳ないなー、などと、どうしようもないことを考えながら、よろよろと登っていきます。
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 やっと山吹峠に到着しました。ここからは旧山之村から旧上宝村に入るようですが、今は神岡町から高山市に入ることになります。
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 山吹峠を下って行くと双六谷に出ます。おとといは双六岳付近にいましたが、そこを源流としている深い谷がここでは明るい。川遊びをしている家族や釣り人が居ます。岩は白く水は透き通っていました。
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 道の端を見ると、双六渓谷鈴音水、がありました。ひかれている沢の水が水車を動かし、取り付けられた鈴が音を響かせています。ぜんぜん目立たないところにありますが、自転車だからこそ気が付いたようなものです。水車をまわしている水で、ほてっているからだを冷却させてもらいました。
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 国道471に出て新穂高に向けて登っていきます。登りはきつくはないけれど日差しによる暑さが厳しい。途中で焼岳が望めました。
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 苦しいながらもなんとか登り切り、覆道の途中にある登山者用駐車場の入口に到着しました。飛越トンネルから4時間かかってしまいました。駐車場は満車、満車、満車、だそうです。
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 満車の駐車場に戻ってきました。相変わらず新穂高から見上げる山上はガスが巻いています。
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 なんとか計画通りに行動して帰ってくることができました。しかし今回の計画は無理に自転車を役立てようという傾向が強かったようです。山吹峠から下って国道に出れば、本数は少ないものの新穂高ロープウェー経由のバスが走っていたし、栃尾までたどり着けばバスの便はもっと多くなっていたようです。もっと、うまく自転車と公共交通機関を利用して、ワイドな山旅を計画してみましょう。まぁ、天気が今一つでしたがすごく久しぶりに行った北アルプスとしては大成功でした。

 

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コメント

なるほど。いいサイトですね。
西駒んボッカはボランティア参加を申し込みました!

投稿: Zen | 2018/08/15 06:02

秩父沢ミソガワソウ、弓折岳ミヤマリンドウ、黄色ミヤマオトギリ、白色ハクサンボウフウと思われます。全部ここに載っていました。http://takaoka.zening.info/Tateyama/Alpine_plant/
ではでは、
涼しくなったら地蔵尾根に行こうかと思います。西駒は熊出没中なり。

投稿: hiroshi | 2018/08/14 20:52

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